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2006年10月 2日 (月)

「お父さんだからできる わが子を東大合格に導く12の力」 星野哲著

「恐育論」というメルマガを発行しておられる星野氏が本を出版されることを知ったのもメルマガ。
ただ、「お父さん」だとか「東大合格に導く」だとかいうタイトルだったので、ネットで注文するのは躊躇っていました。しかし、書店で手に取ってみたところ、ちょっと興味を惹かれたので読んでみることにしました。

「お父さんだからできる わが子を東大合格に導く12の力」 

星野哲著  ディスカヴァー・トゥエンティワン

評価 ★★★★☆

200ページほどの新書で行間や余白も多いため、多分早い方なら1時間ほどで(速読とかできる方ならもっと早く(笑))読み終わるのではないかと思います。

文章も非常に読みやすいですし、身近な、イメージしやすいエピソードを紹介してくれているので、読んでいても実感が湧きます。
タイトルでは、近年の流行もあるのか「東大」とつけてありますし、まあ、それは著者である星野氏が実際に東大に合格されるに到ったご経験を書いておられるという理由もあると思うのですが、内容は「東大合格」を目指さないご家庭でも大いに参考になるもので、果たしてこのタイトルはよかったのかどうかと思ったりします。

個人的にはとても好きな本です。
というか、星野氏のお父さんのファンになりそうです。(笑)

著書の内容は著者のお父さんが、著者が子どもの頃に「東大合格に必要な能力」をつけるためにどういう経験をさせてくれたかということを12項目に分けて、まとめたものです。

ただ、先にも述べました通り、書かれていることは「東大合格」を目指さなくても大いに参考にして頂けることが満載ですので、お子さんがおられる方、これから親になるご予定の方などは、まず書店でパラパラとご覧になってみてはいかがかなと思います。

「はじめに」に書かれている12の力をご紹介しますと・・・。

学ぶことを心から楽しむ、
つまり、
わが子を自然に東大に導く12の力

1 コミット死守力
2 成功体験自信力
3 陰の努力気づき力
4 歯を喰いしばって忍耐力
5 ベーシック日常生活力
6 スーパー朝型人間力
7 主体的リサーチ力
8 トライアル&エラー力
9 勉強自立力
10夢設定力
11そもそもなんで?力
12利他的モチベーション力

このそれぞれの力について、どんなお父さんがどんな経験をさせてくれたか、そのお蔭でどんな効果があったかなどを各項目で述べておられます。

このお父さんがすごく素敵で、怒ると死ぬほど怖いそうなのですが、その怒るポイントというのがなんとも素晴らしい。
また、その怖さがあるので、褒められ、認められるとその喜びは倍増するらしく、著者の文章のうまさも手伝って、本当に楽しく読めました。

このお父さんには感動しっぱなしだったのですが、特になんとも素敵だったのは(いや、やっぱり全部のエピソードが素敵なんですけど)、著者と一緒にミニ四駆のレースに出ると言い出して、お店に行ってミニ四駆の様々なパーツを買ってき、更には練習用の巨大なコースまで作ってしまって、何度も何度も改良を重ね、最終的にはそのミニ四駆がレースで優勝したのだそうです。そのお父さんの姿を見ながら、著者も、「よし僕も!」と何度も改良を繰り返したということが書かれているのですが、試行錯誤し、何度も失敗を重ねながら成功へと近づいていくという力は、社会に出てからも大変重要なものですし、それを子どもに自然と身を持って教えられたお父さんは素晴らしいなと思いました。

また、おかしかったのが、著者が小学2年生のとき、お父さんに「お父さん、僕に漢字、教えてよ」と頼んだときのこと。お父さんの答えは

父「俺は、な~んも、わからん」
僕「だって、お父さん、学校行ってたんじゃないの?」
父「全部、忘れた」
僕「全部忘れたって、そんな・・・・・・」
父「いいか、この際、ハッキリ言っておく。お父さんに勉強のことを聞いてもムダだぞ。全部、忘れちゃったんだから」
僕「・・・・・・・・・」
父「今後一切、勉強に関しては、質問禁止だ。聞かれても、な~んもわからん」
父「もし勉強がわからないんなら、自分で調べるしかないな」
そう言って父は、おいしそうにビールを飲み始めた。

当然、そんなはずはありませんよね。少なくとも小学2年生に漢字を教えられない大人はそうそういるはずもありません。おまけにこのお父さんはある時期司法書士試験を目指しておられたそうですし、この本を読んでいても「テストの点」的な頭のよさかどうかはわかりませんが、とにかくものすごく賢い方だと思いますので、教えられないとか、教えるのが面倒とか、そういう理由で言ったことではないに違いありません。(著者もそうではなかったと感じておられますし。)

これもすごいと思ったのは、小4で友達につられて始めた「進研ゼミ」の話。始める前にお父さんと「絶対ためるな」という約束のもと、やり始めたそうなのですが、通信教材の宿命・・・、そのうちどんどんたまり始め、2ヵ月分ほどたまってしまったある日、お父さんが進み具合を尋ねたそうです。その結果、たまっていることがバレて・・・。

お父さんの取った行動がすごい!完全に予想外です。

何も言わずに部屋を出て行ったあと、手に茶色い封筒を持って戻ってきてひとこと。

父「出てけ」
 父は、茶色い封筒を僕に投げつけた。僕は封筒の中を見た。それは一万円札の束だった。ざっと数えて、三十万。事態が呑み込めなかった。
父「俺の給料やる。何してる。早く出てけ」
(へ?)
父「自分のした約束を守れない奴は、この家にはいらん。出てけ」
 そう言うと、父は、僕を無理やり引きずって家から追い出し、現金三十万と進研ゼミ、それと鉛筆を投げつけて、家のドアをバタンと閉めた。

このあとがまた素晴らしいのです。是非読んでみて頂きたい。

他のエピソードもとにかく素晴らしい。何でも手取り足取りではなく、まず子ども自身に考えさせる、決めさせる、決めたことは守らせる。そういう姿勢を貫いておられます。こんな風に育てることができたら、東大に合格するかどうかは別にして、絶対に「いい子」「素晴らしい人」に育つに違いないと思います。

最近読む本読む本私にとっては「当たり!」って感じですが、この本も好きな1冊になりそうです。
これを読みながら、ふと、横浜の中田市長のお父さんのことが頭をよぎりました。子どもの自主性を重んじる。子ども自身に考えさせる。テストの点なんかでごちゃごちゃ言わないけれど、もっと大事なポイントはしっかりおさえている。
そんなお父さんの元で育つと、本当の意味で「賢い子」が育つのは間違いないだろうなと改めて思いました。

著者ご自身が書いておられますが、この本は具体的な勉強法などは一切書いておられません。
それよりもっと大きな、けれどももっと大切なことが書かれた素敵な本です。さらっと読めますし、心温まるエピソード、思わず笑ってしまうエピソードなども多いので、一度読んでみられてはいかがでしょう。

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