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2006年10月26日 (木)

「『論理エンジン』が学力を劇的に伸ばす」 出口汪著

受験の現国ではかなり有名な出口先生の「論理エンジン」に関する著書が出版されたので読んでみました。

「『論理エンジン』が学力を劇的に伸ばす」 

出口汪著 PHP研究所

評価 ★★★★ (論理エンジンをご存知ない方にはオススメ)

私自身は、子どもの頃から「国語は勉強しなくてもある程度できるから好き」という教科で、特別よくできたわけではないものの、国語の苦労した記憶がありません。

しかし、家庭教師のバイトや塾勤務などを通して色々な子ども達を見るようになると、できる子はできるけど、できない子はできないということがよくわかり、また、できない子に繰り返し読解問題をやらせたところで、大した成果が見られないことが多いということも経験として知りました。

そんな中、何かもっと効果的な教材はないのかとあれこれ探し続けていたのですが、教室を始める頃、たまたま書店の店頭で「論理エンジン」について書かれた本を目にし、その後教材を取り寄せ、少なくともこれまで見てきた国語教材の中では、一番いいのでは?と思いました。

というわけで、私は3年半ほど前からこの教材のことを知っていましたが、このたび、なかなかすごいタイトルで改めて著書が出されたようだったので、どんな内容なのか読んでみました。

プロローグとして「論理がわかれば人生も変わる」と題し、著者ご自身が、もともとは小説家志望だったのに、たまたまアルバイトでした予備校の講師の仕事で現代文の読解に目覚め、今の出口先生が生まれたということが書かれています。

第1章では「頭がよくなる!論理的思考力が身につく法」と題し、論理的思考の重要性を説きつつ、論理エンジンの仕組みなどについて詳しく説明をしておられます。

続いて第2章では「学力とは国語力だ!」と題し、国語力の重要性を唱えると共に、学年別に、この時期にはどんなことができるようになっておくべきかなどを述べておられます。

そして、第3章では「今日からできる『論理エンジン』10のポイント」と題し、実際の論理エンジンの教材から問題をいくつか例に挙げ、その「論理的に読む」ということについて、具体的な方法を説明しておられます。

最後の第4章では「いまこそ子どもたちの頭脳にOSを構築しよう」と題し、著者が考える国語教育、論理的思考の重要性を述べておられます。

ただ、論理エンジンの教材とは直接関係ないのですが、著書の中で著者が書いておられたことでちょっと印象に残ったことがあります。

著者は「感情語」と分類していましたが、生まれながらにして持っている感情(悲しいとか楽しいとか苦しいとか・・・)を表現する言葉(泣いたり叫んだりなど、実際に「言葉」ではないものも指すようです)から先の段階に進まないと、どんなことでも「ムカツク」とかで片付けてしまうのだというようなことが書かれており、また、人間は言葉でものを考えるのだから、細かな感情を表現する言葉を知らなければ、不快なことは全て「ムカツク」になってしまうのだと言われれば、納得です。

糸山先生が書いておられたように思うのですが、「りんご」といわれれば、私達はあの赤くて丸い果物を思い浮かべることができますが、「りんこ」といわれても何もイメージできない。それは「りんこ」というものを知らないからだと。

例えば、子どもがキレるとき、自分の感情をうまく表現できず、それが反動となって出る場合もあるのではないかと考えると、沢山の言葉を知っていて、自分の感情や考えをきちんと表現できるというのは、すごく大切なことなのではないかと、改めて感じました。

この著書で著者が最も言いたいところはそういうところではないとは思うのですが、私にはそのことが一番印象に残りました。

著書自体は、言ってみれば「論理エンジン」の宣伝本というような印象を受けますが、「論理エンジン」についてご存知ない方は一度読んでみられてはと思います。
ですが、既に論理エンジンをご存知の方や、何年か前に小学館から出ている「出口汪の日本語トレーニング」(トレーニングプリントではないもの)という本を読んだことがおありの方は改めて読まれなくてもいいかなという感じです。

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