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2006年9月14日 (木)

「リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間」 高野登著

今日ご紹介する本は教育や育児には直接関係ないのですが、何か読んでいて色々感じることがある1冊でした。

リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間」 

高野登著 かんき出版

評価 ★★★★

著者の高野氏はザ・リッツ・カールトン・ホテルの日本支社長を務めておられる方だそうです。
タイトルからもわかる通り、リッツ・カールトンで起こった様々な感動的な出来事を紹介しつつ、人を幸せにするための「人との接し方」について書いておられます。

私にとっては思わず感涙というストーリーがたくさん紹介されているのですが、読みながら色んなことを考えました。超庶民でおまけに貧乏性の上、旅行にも滅多に行かない私には恐らくこの先も全く縁のないランクのホテルなのだと思うのですが、これを読んで、思わず「一度泊まってみたい・・・」と思ってしまいました。(笑)

著書の中で何度も取り上げられているのが、いわゆる「社員教育」にあたる部分のことなのですが、これはどんな業種だろうと、また、大人ではなく相手が子どもであろうと、参考になること、考えさせられることが色々あるように感じました。

もう、単純極まりない私は、「ここで働いてみたい・・・」とか思ったりもしたわけですが、さすがに「接客」はしたい仕事ではないので思い止まりました。(笑)
因みに、著書の中で書かれていたのですが、ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーは「従業員にとって、もっとも働きがいのあるホテル・カンパニーとしての評価を受けて」いるそうです。
実際、読んでみるとこんなところでこんな風に仕事ができたら楽しいだろうなと、ホテル業に全く興味のない私でさえ思ってしまうものがありました。

そういわれればそうだなと思ったことのひとつは、こんな風に書かれています。

 日本のサービス産業のなかにはまだ、お客様は上の存在で、サービススタッフは下から仕えるもの、という認識が強く残っているのを感じます。
「こちらからお客様に話しかけたりしては失礼ではないだろうか」
と考えてしまう習慣が残っています。それだけに、自分から進んでコミュニケーションを取るということが苦手であったり、またそういう教育もあまりなされてこなかったという背景があるようです。
 すると、お客様のほうでも敏感に壁を感じて、
「こんなことまで頼んでいいのだろうか」
 と遠慮されてしまうのです。
それでなくても特別なことをお願いするときのお客様の心理状態というのは、申しわけないとは思うのだけれど頼んでみよう、という思いがあるのです。とりあえず何でも気軽に相談してアイデアを出してもらおうという信頼関係があると、お客様の心理的負担もずいぶんと軽いものになるはずです。

また、他にも数限りなく、ほぉ~っと思ったり、考えさせられたり、自分も見習わなくてはと思ったりしたことがあるので、ランダムに引用して紹介させて頂きますと・・・

ホテルの朝食メニューについての例を挙げながら・・・

 冷蔵庫の中には肉もあるし、スパニッシュオムレツ用の食材もあります。たいていのことは即座に対応できるはずです。それにもかかわらず、
「申しわけございません。朝食はこちらのメニューになっております」
 といってルールを守ろうとするのは、ホテル側の都合ではないでしょうか。(中略)
 ただ、お客様の好みや感性は一人ひとり違います。それにきちんと対応してこそ、心に染みるサービスを提供できると思うのです。

であるとか、リッツ・カールトンからの従業員への約束という話では・・・

 従業員を、現場での作業を完璧にこなす『人材』としてみるのではなく、企業にとって最も大切な財産、プロフェッショナルである『人財』と明確に捉えているのです。当然そこには、従業員としての強い責任感が求められ、プロとしての義務も生じます。そこで初めて企業側と従業員との間に、本当の意味でのパートナー関係ができ上がります。
 ところが、いまだに多くの会社では、この関係が逆になっています。
「私たちはこの規則に従います。会社に対して○○はいたしません」
 というように、従業員が会社に対して約束をさせられるだけというのが一般的だと思います。

まずこちらが信頼するということの大切さ、それがもたらす効果など、読んで納得です。

またこれもすごいのですが・・・

 エンパワーメントで従業員に認められている力(権利)は三つあります。

 ①上司の判断を仰がず自分の判断で行動できること
 ②セクションの壁を超えて仕事を手伝うときは、自分の通常業務を離れること
 ③一日二千ドル(約二十万円)までの決裁権

 現場のスタッフにとって、エンパワーメントは大変ありがたいものです。お客様にお花をプレゼントしたいが、あとで経費として認められなかったら・・・・・・。そんな心配があるうちは、従業員としても思い切った発想が出てきません。エンパワーメントの仕組みができているからこそ、通常のサービスを超えた最高のおもてなしを実現できるのです。

従業員みなに1日20万円ものお金をお客様へのサービスのために自由に使う権利を与えられているというのは、やはりすごいことだと思います。

また、開業の際の採用面接の話も書かれているのですが、面接はホテルの大宴会場で、入り口にはドアマンが2人。面接に入るとウエイターたちがコーヒーなどを運んできてくれて・・・という状態でなされたそうです。そこにこんなことが書かれています。

 入社試験のためにいったいどうしてここまでやるのか。もともとリッツ・カールトンには相手が誰であろうと“親切なおもてなし”をする文化がありますが、理由はそれだけではありません。
 もうひとつの理由は、他の応募者の反応を見て気づきました。三百五十人の募集に対して約三千人の応募があったのですが、会場の雰囲気を見た半分ぐらいの人が、
「自分には合わない。もっと普通のホテルで働いたほうが気が楽だ」
 と言って帰ってしまったのです。(中略)
 実際に自分が受けたサービスを通して、リッツ・カールトンの文化に適応できるのか、もしくは本当に適応したいのかを考えてもらう狙いがあったのです。

また、採用に際しての面接でなされる質問についても、実績やスキルなど、一般の採用試験であれば必ず聞かれるであろうことは殆ど聞かれず、代わりに、最近どんな本を読んだかや、自分の家族を喜ばせるために先月したこと・・・そんな「意外な」ものばかりだったそうです。
しかし、その理由としてこう書かれています。

 サービスの技術や技能は訓練すれば習得できます。知識もキャリアを積めば自然に身につくものです。しかし、その人の人格や価値観は長い時間をかけてつちかわれてきたものであり、あとからそう簡単に変えられるものではありません。テクニックはあとから訓練できたとしても、パーソナリティーは鍛えられないのです。

深い。けど、確かにそうだなと思いますね。

このほかに、私が何度も目頭が熱くなった感動のサービスについてのエピソードがふんだんに紹介されています。
実際にこんなことをしてもらったら、一生このホテルのファンになるだろうなと思ってしまうものばかりでした。

これを読んだらきっと、このホテルに泊まってみたくなるに違いない。そう思います。(笑)

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