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2006年8月31日 (木)

「経営者の教科書」 江口克彦著

私にしては珍しく「経営」と名のついた本のご紹介ですが、実際には「教育」という面でも大いに参考になることが書かれていたように思います。

「経営者の教科書 実践しなければならない経営の基本100 

江口克彦著 PHP文庫

評価 ★★★★

世情に疎い私は、5年前ぐらいまで「PHP研究所」と松下幸之助さんとの関係を全く知りませんでした。PHPから出ている本は教育関係の本や自己啓発の本など、結構色々読んでいたにも関わらず、PHP研究所を作られたのが松下氏ご自身だと知ったのは、江口氏のある著書を読んだことがきっかけでした。

ジャンルで言えば自己啓発系の本にあたるのかなという本でしたが、昔読んだ「『きっと芽が出る人』の法則」という本の印象がよかったので、先日、松下氏の著書を購入するときたまたま目に留まったこの本も一緒に購入しました。

タイトルにもある通り、経営者にとって大切な心構えのようなものを100項目、ほとんどが見開き2ページ分にまとめられて書かれています。

初めにも少し書きましたが、読んでいて何度も「教育でも同じだ」と思うことがありましたし、経営者でなくても参考になることが沢山書かれていたように思いました。

項目でざっと挙げてもかなりになるのですが、いくつかご紹介しますと(以下青字部分引用)

5. 経営者に部下を拝む心があれば、会社は必ず発展する
7. すべて百点の仕事でなければ仕事ではない
12.「正しい仕事」を日々積み重ねる以外に、成功への道はない
25.自分一人儲けることを考えるより、世のため人のためを先に考えるほうが、結果的に儲けることにつながる
33.夢を夢で終わらせるのか、夢を現実へと導いていくのか、その差はただ一つ、熱意を持っているかどうかである
42.その時点の能力だけで、永遠の評価をしてはならない
47.自分より能力が上の人間をいかに使えるかが、責任者の大事な能力である
50.部下は上司にとって、自分を映す鏡である
57.自分の考え方を一〇〇パーセント部下に伝えたいと思うのなら、一〇〇〇パーセントの熱意を持って訴えなければならない
60.仕事に面白みを見出し、味わうということができるようになるならば、その人は必ず成功する
65.仕事であれ経営であれ、あらゆるものは、もともと必ず成功するようになっている
75.責任者は、部下が持ってきた話や提案の内容よりも、部下が責任者のところへ話しに来るといった行動や勇気をほめなければならない
81.部下を育てるポイントは四つある。一つ目は、部下にものを尋ねるということ、二つ目に、方針を明確に示すということ、三つ目に、権限を委譲するということ、そして四つ目が、感動させるということである
96.素直な心こそ、王道の経営の根源であると共に、経営成功の最高の秘訣である
97.企業が活動しているのは、人間の幸せを実現するため
100.持って生まれた人間的能力を、死ぬまでに発揮し尽くすことが人間としての幸せである

上に挙げた項目の経営者という言葉を親とか教師に置き換えたり、部下を子どもと置き換えても、そのまま通用しそうなものが沢山あります。
また、企業経営とまでいかなくても、私自身仕事をしていく上で大切なことに改めて気づかせてもらったところも色々ありましたので、経営に関わっていない方にも色々気づきがあるのではと思います。

項目では挙げていないけれど、印象に残った言葉などをいくつか紹介しますと、項目の70で

そもそも、仕事がほんとうに好きになれば、それは仕事という名の趣味、あるいは遊びになる。楽しくてたまらなくなる。そこまで到らずに、なぜ成功することがあるだろうか。そこまで到らないから、楽しい趣味と退屈な仕事という、子供っぽい二分法になる。

と書かれているのですが、これを読みながら、なんだか少し嬉しくなりました。
何をもって「成功」というのかもまた微妙なところではありますが、私は教室を始めてから、仕事をストレスに感じたことがほぼ全くありませんし、だから、ストレス解消に何かしたいという欲求もなくなりました。そういう意味でこの仕事は本当に自分がやりたいことなんだろうなと思っていましたので、江口氏のこの言葉になんだか一層強くそれを感じました。

また、項目の75は上で紹介していますが、この部分に思わず頷いてしまいました。

(前略)しかし、そもそも部下の話や提案がいつも優れていることを望むほうがおかしい。責任者より部下のほうがいつもいい提案をするならば、部下のほうが優秀なのだから、責任者と部下は立場を入れ替えなければいけないではないか。部下の話は何回かに一回いい提案があれば、それで充分なのである。
 部課が持ってきた話や提案の内容は、早く言えば二の次でいい。それよりも、部下が自分のところへ話しをしにきてくれた、その行動を、その熱心さをまずほめる。上司にほめられるのは、やはり誰でもうれしいものだ。部下はいっそう勉強して、また責任者のところへ情報を持ってきてくれるようになる。


これは、親子、教師と生徒などの間でも何か大切なことを書かれているような気がしませんか?

項目の97に書かれていることも素敵です。

 したがって、経営者が経営を進めるということは、利益を上げることが究極の目的ではない。それはあくまでも結果であり、究極は「どうしたら人間に幸せを与えることができるのか、どうしたら人間に喜びを与えることができるのか」を考え続けていくということである。
 すべては人間の幸せを実現するため。
 それを忘れた企業が、まっとうな経営をすることは不可能だろう。
(後略)

項目の99では松下氏が悟った「経営の基本の考え、使命」について紹介されているのですが、これがまた素晴らしい話です。
私のように、松下氏について詳しくない方は99、100は、書店などで立ち読みでもいいので読んでみられてはと思う内容です。

文庫で価格も手頃、おまけに読みやすいので、ご興味を持たれた方は一度読んでみられてはいかがでしょうか。

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2006年8月28日 (月)

「世界がもし100人の村だったら」

今更。。。と言われそうですが、私はこれまで、書店の店頭でペラペラと途中まで見たことがあったのですが、きちんと読んだことがありませんでした。
子ども達にも少しでも世界のことがわかるかもしれないと、まず一度ちゃんと読んでみることにしました。

「世界がもし100人の村だったら」 

池田香代子再話 C.ダグラス・ラミス対訳 マガジンハウス

評価 ★★★★☆

このお話はインターネットのEメールを介して、世界中を駆け巡ったものだそうです。

地球上の人々を100人という人数に置き換えて(要するに100%中の何%に当たるかがひと目でわかる数に置き換えて)、様々な点について紹介しています。

例えば、

20人は栄養がじゅうぶんではなく
1人は死にそうなほどです
でも15人は太りすぎです

であるとか、

自分の車を
もっている人は
7人のうちの
1人です

であるとか、

村人のうち
1人が大学の教育を受け
2人がコンピューターを
もっています
けれど、
14人は文字が読めません

などの、少なくとも私はこれまで考えたこともなかったようなことが書かれています。

そして、最後はこう締めくくられています。

もしもたくさんのわたし・たちが
この村を愛することを知ったなら
まだ間にあいます
人びとを引き裂いている非道な力から
この村を救えます
きっと

また、お話の後には池田氏による詳しい解説が書かれています。
その中で、

オリジナルは「ザ・グローバル・シチズン 村の現状報告」というタイトルをもち、「もし世界が1000人の村だったとしたら」の1行で始まっている。

と紹介されていますが、1990年5月31日という日付をもつ「オリジナル」と、2001年春に日本にたどりついたネットロアの違いについても細かい解説がなされています。

また、この本の中で出てきている数字については、様々な統計や年鑑、専門機関に照らし合せ、現在により近い数値に修正してあるとも書かれています。

読むのは本当にあっという間に読めますが、読みながら色々なことを考えるのではないかと思います。

私は今自分の置かれている状況がいかに恵まれているかを改めて感じましたし、感謝もしました。
また、不謹慎ながら、地球レベルで見れば相当に恵まれた人間の1人であるのであれば、自分の悩みや不安なんて取るに足りないものなのだろうなと、そんなことも思ったりしてしまいました。

うまく言えませんが、子ども達にも是非読んでみてもらいたいと思います。そして、子ども達なりに何か感じて、考えてみてくれたらなと思います。内容をきちんと理解できるという意味では小学校高学年以上ぐらいからなのかもしれませんが、きっと何か感じるものがあるのではないかと思います。

私のように、まだきちんと読まれたことのない方は是非一度読んでみられてはいかがでしょう。
何か気づきがあるかもしれません。

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2006年8月24日 (木)

「インベストメント ハードラー」 為末大著

ハードルの銅メダリスト、為末大さんが本を書かれたことをブログで知り、早速注文して読んでみました。

「インベストメント ハードラー」 為末大著 講談社

評価 ★★★★

英語に極めて弱い私はよく知らなかったのですが、タイトルからしてまさに「投資」に関する内容が中心の本でした。
プロの陸上選手がなぜ?という印象も受けましたが、以前テレビでお見かけした為末さんを見ていると、中田英寿さんと共通するものも感じましたし、冷静で頭がよく、将来的なこともしっかり考えていそうな方だったので、読んでみて納得という感じでした。

文章は非常に読みやすく、私のように「投資」なんてことには全く縁のない素人でも、書かれていることはよく理解できます。
お盆休みだったこともあり、1日で殆ど読み終えられました。
また、読みながら改めて、(為末さんかっこいいわ。。。)と思ってしまいました。(笑)

ただ、文を書くのが仕事の方ではないので、文章表現の細かい部分に関しては若干目をつぶって頂く必要があるかもしれません。(厳しい国語の先生だと指摘を受けるかも。。。というようなレベルですので、普通に読むには全く支障ありません。)

投資の話が中心ではありますが、為末さんの生い立ちや子どもの頃の陸上での活躍、その後、ハードル選手になるまでの道のりなども詳しく書かれていますし、また、企業に所属していたのを退職して陸上のプロ選手になったことに関する一連の話にはしみじみ素晴らしいなと思いました。

以前テレビで、彼はコーチもつけずに一人で練習をしていると聞いたことがありましたが、それは既に学生時代からずっと続いていることだと知りました。その他、トレーニング法に関する話や、これまでの数々の試合での成績、それに対する彼の捉え方など、何もかも「すごいなぁ」と思うことだらけでした。
読めば読むほど、まさに「侍」という名にふさわしい人物だなと感じます。

また、投資の話についても、昨今巷に溢れる、一般投資家向けのデイトレードその他のハウツー本とは完全に異なり、彼なりに考える投資のあるべき姿、理想などが語られています。その考え方も尊敬に値するものです。

更に彼が素晴らしいと思うのは、プロの、それも世界ランキング1桁台の一流の選手であるにも関わらず、経済や政治にまでも興味が及んでおり、日本人の多くが選挙に行かないことに対しても彼なりの意見を述べています。

本の帯には

「初期投資30万円が現在2000万円に増えた話。」

となんともすごいコピーが書かれているのですが、それ自体は事実のようです。ただ、この本のキャッチコピーとしてはそれがふさわしいのかどうか少し疑問が残ります。

というのは、このコピーだけを見ると、どうやってお金を儲けるかということに興味のある方は買いそうですし、逆に投資に興味のない方は手に取らないような気がするからです。

ですが、実際には「いかにして儲けるか」ということを考えている方ではなく、私のように投資について全くの素人だったり、特に興味もないというような方の方がより多くのことを考え、感じることができるのではないかと思ったりするのです。

直接的には教育に関する本ではありませんが、中学生や高校生であれば、子ども自身が読むのも大いに意義があるのではないかと思います。

為末さんのファンの方にはもちろんオススメですが、そうでない方も一読の価値ありだと思います。

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2006年8月21日 (月)

「やさしい国語読解力」 後藤武士著

最強最後の学習法」などでおなじみの後藤先生が中学生向けに書かれた読解に関する本のご紹介です。

「やさしい国語読解力」 後藤武士著 宝島社

評価 ★★★★ (大人は別として、国語が苦手な中学生には十分オススメです。)

既に2冊の著書をご紹介した後藤氏の多分最新の著書がこちら。
タイトルにもある通り「国語の読解」について苦手な子でも読める、そして、多分理解できる内容の「やさしい」文章で書かれています。

文字も大きめ、行間もゆったり、使っている言葉も非常にわかりやすく、大人や本を読むのが苦にならない子であればあっという間に読み終わるのではないかと思います。

ここに書かれている内容は、もともとは2005年夏から2006年春にかけて「毎日中学生新聞」に連載されていたものに加筆修正したものだそうです。新聞連載の内容に17回分の加筆をされたようですので、もともと新聞を読んだことのあるお子さんでも続きを読んでみる価値はあるのではと思います。

本書の構成は第0回(まえがき)から第50回まで50の項目でまとめられていますが、少し珍しいのは目次が普通の一覧のもののほかに項目別索引がついており、例えば「接続詞」について触れているのは第3、4、8・・・・の回であるというように、目的に応じて読むことも可能になっているということです。(読むのが苦手な子向けという前提があるので、そういう配慮もされているのだと思います。)

読んでいてとにかく感心するのは、普通、本を書く場合、特に知識を沢山持っている方であればあるほど、つい難しい表現を使ってみたり、自分の知っている難しい知識や言葉をちらちらと登場させがちな気がするのですが、後藤氏はこの本で一貫して「やさしい表現」、「わかりやすい表現」を心がけておられるなと感じたことです。

国語の読解が苦手な子は決して少なくないと思いますが、そういう子がどういうところがわかっていないのかを国語が得意な大人はなかなか理解できません。また、何しろ「国語」ですから、大人にとっては当たり前すぎて、みんなわかっていて当然と思っているようなことも、子ども、特に国語が苦手な子どもにとっては全く当たり前ではなかったりもするのだろうと思います。

そもそも国語が苦手な子は本を読むのもキライである場合が少なくないとは思いますが、この本なら休み休みでも何とか読めるのではないかと思いますし、子どもなりに「あぁ、そういうことなのか」とか「へぇ~、そうだったのか」という気づきや発見があるのではないかと思います。

実際に国語が苦手な子に読んでみてもらったわけではありませんので、もしかするとこれでも難しくて理解し切れないような子もいるかもしれませんが、そういう場合でも指導者側がこの本に書かれていることを子どもに説明してあげるという形での活用もできるかと思います。

これを読みながら、何度も「そんなの当たり前なのでは?」とか、「国語の参考書なんかに書かれているよね?」と思うことがありましたが、よく考えると、子どもにとっては当たり前ではなかったり、難しそうな参考書に書かれていることでは表現の仕方が違って、結局子どもは理解し切れないなんてこともあるのかもなと思いました。

読解が苦手な小学校高学年から中学生ぐらいのお子さんには結構有効なのではないかと思います。この本の内容が全部わかっているとか、こんなの簡単だと感じるお子さんであれば、きっと読解はそんなに苦手ではないと思いますから、その場合は「これ一冊で必ず国語読解力がつく本」などを読まれるといいのではと思います。

子ども自身が読む本としてオススメです。

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2006年8月17日 (木)

「おおきな木」 シェル・シルヴァスタイン作

今回は絵本のご紹介です。
絵本ですけど、大人の方にもかなりオススメです。

「おおきな木」 シェル・シルヴァスタイン作・絵 ほんだきんいちろう訳 篠崎書林

評価 ★★★★★

以前、江原啓之さんの著書でこの本のことが取り上げられていたのですが、私はこれまで読んだことがなく、意識していなかったからか、書店で見かけて手に取ったこともありませんでした。

しかし、先日ご紹介した雑誌でこの絵本がまた取り上げられていたので、注文してみました。
読みかけの本も色々あるのですが、絵本ですぐ読めるということもあり、届いてすぐに呼んでみたのですが、あらすじは既に知っていたということもあり、読み始めて間なしから涙がじんわり。途中からは涙ボロボロ。。。(苦笑)

すごくすごく深いお話です。
あまり書いてしまうと、知らない方に内容がわかってしまって、折角の感動がなくなってしまってはいけませんので、詳しくは書けませんが、私はこの「おおきな木」のような人間になりたいと思わず思ってしまうような、そんな素晴らしいお話です。

書店にあれば、立ち読みしても5分ほどで終わってしまうと思いますので、読まれたことのない方は是非読んでみられてはと思いますが、涙もろい方は非常に危険ですので、図書館で借りられるのもいいかもしれませんね。

絵は全て白黒で、サインペンで描いたような絵ですから、ぱっと見で「子どもに買ってあげよう」とは思わない感じの絵本かもしれません。
おまけに。。。。。。作者に何の罪もないわけですが、裏表紙に多分作者だと思われる写真が大きく写っていまして、これがまたちょっとコワイ。(苦笑) まあ、この点に関しては、紙の表紙を外してしまえば大丈夫ですけどね。

内容は書きたいのはやまやまなんですけど。。。ここはぐっと我慢。
涙腺の強い方は書店でまずは立ち読みを、そうでない方は図書館で貸し出しを(もちろんいきなり購入されてもきっと後悔はされないと思いますけど)オススメしたい1冊です。

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2006年8月14日 (月)

「日経Kids+」9月号

雑誌をご紹介するのは初めてかもしれません。
ネット書店でたまたま目に留まったのですが、特集のタイトルが気になったので購入してみました。

「日経Kids+」 9月号 日経ホーム出版社

評価 ★★★☆

これまでこの雑誌を購入したことはなかったのですが、特集が「夏休みの読書で差を付ける!子どもの感性を磨く100冊の本となっていたため、価格も手頃だし、他に注文するものもあったので一緒に購入してみました。

雑誌なのでもちろん広告なども色々ありますし、また、ターゲットが子どものいる親ということや夏休みということもあって、「夏休みの正しい生活習慣」とか「動物園の人気者に会いにいく」とか、そういう内容も書かれています。

個人的には動物園にも行きませんし、夏休みの生活習慣といわれても心がけられる部分は限られていますので、あまり参考にはなりませんが、お子さんがおられる方にはそちらも十分参考になることが書かれていると思います。

ただ、私としてはトップの特集の書籍紹介の部分だけでも、これを購入してよかったと思っています。

あらゆるジャンルの著名人にお気に入りの1冊を紹介してもらっていたり、テーマ別にオススメの本を紹介していたりするのですが、渡邉美樹社長の思い出の一冊は「星の王子さま」だそうです。

実は子どもの頃、みんなが読んでいたような有名な本は殆ど読んだことがない変わり者の子どもだったため、「星の王子さま」はタイトルや表紙は見たことがあるものの、内容をまともに知りません。
しかし、渡邉社長のオススメなら、是非一度読んでみようと思ったりしました。
自分が読むかどうかは別として、教室に置きたいなと思っています。

渡邉社長以外にも作家、宇宙飛行士、能楽師、漫画家、アナウンサー、タレントをお一人ずつピックアップして、「思い出の一冊」を紹介しています。

また、「子どもに大事なことを伝える一冊」として、「世の中の仕組み」「体と心」「異文化体験」「生きる力」「言葉遊び・詩」など、色々なジャンルのオススメの本をずらっと紹介してくれていて、それぞれの本には対象年齢や簡単な内容などが書かれています。
これを見ながら、教室に置きたいなとか、自分でも読んでみたいなと思うものが色々ありました。

そして、多くの子どもが頭を悩ませる「読書感想文」について、どういう本を選ぶとよいかなどのアドバイスも紹介されています。

書店には数え切れないほどの本がありますし、ネット書店などではお目当ての本がある場合はともかく、ただ単にオススメの児童書がほしいなというような探し方は難しいですし、絵本などは案外高いものも少なくありません。

そういう意味ではこれを参考に、面白そうだなとか、これは私は興味がないなという判断には十分使えそうです。

もちろん、こういう「紹介本」は他にも色々あると思いますが、雑誌で価格も手頃。紹介している本の数も結構あり、また、私が見ていても面白そうだなと思えるものが色々ありましたので、そういう意味では十分オススメできそうです。

ただ、雑誌ですし、既にアマゾンでは在庫がないようです。書店の店頭にはまだあるかもしれませんし、出版社にバックナンバーとして残っているかもしれませんが。

そういう意味で★★★☆にしましたが、特集は私には満足できるものでした。

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2006年8月10日 (木)

「なぞぺ~」 高濱正伸著

以前、「小3までに算数脳育てたい算数脳」でご紹介した、花まる学習会代表 高濱正伸先生がパズル冊子を出されたようです。
早速注文してみました。

考える力がつく算数脳パズル なぞペ~①」 

高濱正伸著 草思社

評価 ★★★★☆

対象年齢は5歳から小学3年までとなっていますが、それは高濱先生の著書にも書かれており、先生がご経験上感じておられる、「算数脳」の育ち終わりが小学3年ぐらいまでだからということのようです。

しかし、実際に問題を見ますと、算数が苦手な子であれば高学年や中学生であっても考え込んでしまうものも沢山ありますし、おうちの方もお子さんと一緒に考えることができそうなものもあります。

問題の構成としては前半にA問題として5歳から小1対象の問題が40問とその類題、後半にはB問題として小2から小3対象の問題が同じく40問とその類題。ラストに難問が4問という風になっています。

普段私が教室で主に使っている教材とよく似た問題、小学校入試などで出されるものに似た問題なども多いのですが、これまで書店などで一般売りしているパズル本など色々見た中では、問題構成がバラエティーに富んでいますし、問題数的に見ても、この価格はお手頃なのではないかと思います。

前書きに書かれていることを紹介しますと(以下青字部分引用)

 このドリルは、「百マスでは伸びない思考力」を扱っています。(中略)数の概念をしっかり身につけて、計算ができることは、基礎としてなくてはならないものですから、百マスなどのドリルも、もちろん意義があります。
 しかし、将来を考えたときに、厳しい入試や社会に出てからの場で、もっとも大事なことは、計算の作業力ではなく、算数を通じて培った思考力です。このことは、トップ校の入試の真っただ中の方や、社会でバリバリ働いている方ならば、同意していただけると思います。
 受験生ならば、「計算なんてできて当たり前、差がつくのは『補助線が浮かぶか浮かばないか』に象徴される考え方である」と。
 社会人ならば、「言われたことを繰り返し正しくやるだけでは使い物にならない。何が問題かを感じて課題設定し、論理的に考えて、失敗を教訓として活かしていける力である」と。(後略)

そのほかにも前書きに書かれていることは、読んでいて納得のいくものですし、もともと「小3までに・・・」をご紹介したときにも共感できることが多いものでしたので、このパズル本も上手に利用すれば、楽しく能力を伸ばすことができるのではと思います。

ただ、バラエティーに富んでいるというのはいいことである反面、1問解いて、類題も解いたら、それ以上には同類の問題がないため、特に小さい子であれば、何かを掴み取る、感じ取るというところまではいけないかもしれないと思ったりもします。

また、天秤などのつりあい、傾きなどから重いものを考えるような問題、積み木やサイコロの問題などもあるのですが、具体物の操作をせず、ペーパーだけで理解・判断させるのは、子どもによっては無理な場合もあると思います。(苦手な子にそれを強いるとパズル本来の楽しささえなくなってしまい、算数嫌いに留まらず、パズル嫌いにまでなってしまうかもしれません。)

私自身、パズルを解くのはかなり好きですが、この本の問題は私が見てもちょっと考えるとか、結構しっかり考えるとかいうものが少なからずありますので、小さいお子さんだと中にはハードルが高すぎるというお子さんもおられるように思うのです。

この問題を参考にしながら、更なる類題をおうちの方が作ってあげるとか、問題をやる前に具体物で実際に実感させるとかいうことをすれば、非常に活用価値のある1冊なのではないかと思います。

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2006年8月 7日 (月)

「図解 フィンランド・メソッド入門」 北川達夫著

先日もフィンランドの教育に関する書籍(小冊子)をご紹介しましたが、こちらは書店の店頭でペラペラと中を見たところ、ちょっと気になり、購入してみました。

「図解 フィンランド・メソッド入門」 北川達夫著 経済界

評価 ★★★★☆

B5版サイズで全85ページ、しっかりした紙にカラー印刷、写真も使ってあるものの、このページ数にしては若干高いなぁと思ったのですが、読み終わった感想としては、買ってよかったと思えました。

本書の初めにはフィンランドという国がどんな国なのか、とても美しい写真を沢山使って紹介してあります。
「森と湖の国」とも呼ばれるらしく、本当に自然の美しい国のようです。しかし、北極圏に近いため、北部では白夜やオーロラなども見られるそうです。
また、フィンランドは税金は日本より高いものの、医療費や教育費はかからず、老後の心配もない、「生活水準の高い福祉国家」でもあるそうです。

そんなフィンランドの教育について、元外交官の著者が具体的に、とてもわかりやすく紹介しているのがこの本なのですが、これに沿って、ご家庭などでも実際に「フィンランド・メソッド」を取り入れた学びをすることが可能なものになっています。

最初に国の紹介をしたあと、「フィンランド・メソッド」についての説明をし、その後は具体的に5つのメソッドを紹介しています。
その5つとは、「発想力」「論理力」「表現力」「批判的思考力」「コミュニケーション力」となっており、実際にフィンランドでなされている、それぞれの能力を伸ばす指導が具体例を挙げながら、読みやすくまとめられています。

「発想力」としては「カルタ」が紹介されています。
「カルタ」とは英語でいえば「マインド・マップ(シンキング・マップ)」と説明されていますが、「ドラゴン桜」で出てきていた「メモリーツリー」に似たもののようです。
小学校3・4年の授業で徹底的に「カルタ」の書き方・使い方を練習するそうですが、ひとつのテーマに対して、自由な発想でどんどん枝を伸ばすという練習をするようです。(先日ご紹介した「合格力は考える勉強で伸びる!」にもよく似たものが紹介されていたように思います。)

この方法は発想力を育てるのにもちろん役立つと思いますが、今の時期であれば、夏休みの作文や感想文を書いたりするのにも役立ちそうです。

「論理力」としては「『ミクシ?(どうして?)』攻撃の秘密」という見出しで書き始められていますが、フィンランドの小学校では、とにかく先生は生徒の発言に対して即座に「ミクシ?(どうして?)」と尋ねるのだそうです。
小さい頃から「どうして?」と尋ねられ続ける子どもたちは、自然といい加減な発言はしなくなり、自分の発言を常に客観的に見直さざるを得なくなるといいます。とても納得できますね。

また、意見には必ず理由を答えるということをしっかり身につけるために、小学校のうちに「一定のフォーマット(論理型)」に沿って意見を言う練習をするそうです。
ひとつの意見に対して、「なぜなら」「それに」「また」と理由を3つぐらい考えるよう促されるそうですが、これも、理由もひとつぐらいなら簡単に思いつくけれど、2つ、3つとなるとやはり自分の意見を客観的に見直すことに繋がっていくのだそうです。

次に「表現力」については興味深いのが作文練習法。名詞や動詞、形容詞など色々な単語を15個ぐらい板書したあと、先生が生徒に向かっていうのだそうです。

「さあ、これらの単語を全部使って、作文を書いてみましょう。できるだけ短く書くこと。いちばん短い作文を書けるのは誰かな?」

このように、単語を10~20個指定して、できるだけ短く作文を書くというのは、フィンランドの小学校ではごく一般的な作文練習法なのだそうです。
動詞などの活用があるものは活用させて使ってもいいルールだそうで、この練習法は「言葉を巧みに使いこなす技術」を習得するのに最適だと筆者は述べておられます。

また、作文指導はやはり一定のフォーマットに従って書くというところから始まるようで、基本的な型が身につくまではフォーマットに従って書き続けるそうです。何もかもがとても理にかなっていると思いますよね。私は感心しっぱなしでした。

「批判的思考力」についてはこれもまたすごい。
まずは班でテーマに沿って「カルタ」を書き、話し合いに沿ってひとりの書き手が作文を書き上げると、その作文を班員全員が読み、それぞれに作文のいいところと悪いところを10個ずつ挙げるのだそうです。
そうして挙げられたものを話し合ってそれぞれ10個にしぼりこみ、悪いところを改善しつつ、書き手が再度書き直します。しかし、ここで終わりではないのです。
今度は書き直した作文をとなりの班に渡し、先ほどと全く同じ作業をしてもらったあと、更にそこで挙げられた悪いところを改善しつつ、書き直し。ここで完成の場合もあれば、全ての班にまわして作業を繰り返す場合もあるのだそうですが、すごく興味深い授業です。

また、必要な情報を見極める訓練として、算数の文章題を国語の時間に「読解」するという授業もあるようです。
文章題に書かれている内容からいくつかの言葉を挙げ、問題を解くのに必要なものはどれかを考えさせる。例えば、金額について考える問題であれば、買い物をした場所や曜日などは問題を解くのには必要ありませんが、そういうことを「読解」として考えさせていくのだそうです。これも、文章題が苦手な子どもの指導には参考になりそうですね。

最後に「コミュニケーション力」ですが、こちらは班活動での議論について紹介されています。子供同士の議論ですが、ルールがきちんと決められており、「他人の発言をさえぎらない」「話すときには、怒ったり泣いたりしない」「どのような意見であっても間違いと決めつけない」など10のルールがあるようです。こちらも全て本当によく考えられているなと思うことばかり。

小学生のうちからこういう教育を受けていれば、そりゃ世界トップクラスの学力を有する国になっても何の不思議もない気がします。
とても読みやすく、わかりやすい上、具体的な方法が書かれていますので、ご家庭でも、学校の先生などでも参考にしやすいのではないかと思います。
私も読みっぱなしではなく、しっかり読み直しておきたいと思える1冊でした。

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2006年8月 3日 (木)

「ふしぎだね!?LD(学習障害)のおともだち」

発達と障害を考える本のシリーズ第3弾です。
しかし。。。世の多くの塾の先生方からすればまだ楽な方だとは思うものの、本を読む時間がなかなか取れません。その上、さっき一部書きかけていた記事が突然消えてしまって、かなりショック。(苦笑)

夏休み中、週2回更新ペースが守れるかちょっと微妙。。。頑張ります。

「ふしぎだね!?LD(学習障害)のおともだち」 

内山登紀夫監修 ミネルヴァ書房

評価 ★★★★

色々な障害の中でも一番気になっているのが学習障害で、いずれもう少し詳しく学んでみたいとも思っているのですが、入門書になるかなと、自閉症、アスペルガー症候群に続けてこちらも購入してみました。

本の構成はこれまでと同じく、前半部分に絵を沢山使って、子どもにもわかりやす、LDの子どもに起こりやすい事例をあげ、どうしてそういうことになってしまうのか、そういう場合にはどんな対処をしてあげるといいのかが書かれています。

もちろん、あくまでも一例だと思いますし、同じ「LD」と言っても、何に障害があるかは人それぞれのため、基礎知識という感じで理解するには役に立つ本だと思います。

個人的にはLDが一番気になる理由のひとつが、本の後半にも書かれていましたが、LD児の場合、大抵のことは他の子と同じようにできるので、障害だと気づかれにくく、本人の努力が足りないのだと思い込んで悩んだり、周囲から叱られたり、からかわれたりして自信をなくしたりということが起こりうるということです。

この本には診断基準のようなものは書かれていないのですが、もしきちんとした検査を受ければ全ての子どもにある程度正確な診断ができるものなのでしょうか?(自分で何かを調べればいいんですよね。。。)

もしも早い段階で障害がわかれば、不必要に叱ったり、訓練させたりする必要もなくなりますし、望ましい対処の仕方もわかるでしょう。また、子どもも無駄に悩んだり、自信を喪失したりせずに済むように思うのです。

もちろん、我が子が何らかの障害があると診断されるのは決して嬉しいことではないでしょうし、気になっても認めたくないとか、うちの子は違うだろうとか、そう思って診断を受けない方も多いと思うのです。
その結果、いじめなどにつながっているケースも決して少なくないだろうとも思うだけに、「子どもは何歳になったら全員その検査を受けます」というような風になっていたらどうなんだろう?なんてことを思ったりもします。

もちろん、そんな簡単なことではなく、私が気づいていない難しい問題などもあるのでしょうし、圧倒的多数の子どもが障害がないと診断されることにもなるのでしょうから、実際には難しいと思いますが。

個人的にはLDの診断基準のようなものがもう少し書かれていたら嬉しかったなとも思いますが、基本的には子どもが読んで障害を理解するという目的で書かれている本だと思いますので、そういう目的からすれば、十分オススメできる1冊だと思います。

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