「公立の中学・高校から東大へ行こう!」 滝田大・洋子著
今回はちょっと思いがけず、著者ご本人からお知らせを頂き、読ませて頂いた本のご紹介です。
「公立の中学・高校から東大へ行こう!―「行きたい大学へ入る勉強法」と「家庭力」のルール」
滝田大&洋子著 こう書房
評価 ★★★★
大変ありがたいことに、このブログを読んでくださっているという著者ご自身からこの本をお送り頂きました。大変感激しています。
本当に思いがけないことでしたし、とてもありがたいことでしたので、気持ち的にはそれだけでも星5つなのですが、やはりそこは、これまでどんなときも自分が感じたままを正直に書いてまいりましたので、滝田さまにもお断りさせて頂いた上で、感じたままをご紹介させて頂きます。
著者である滝田ご夫妻は滋賀で「αセミナー」という学習塾をしておられるそうです。著書に書かれているのには、お住まいの地域は山々と川と湖に囲まれたのどかな田園地帯だそうで、子育てには素晴らしい環境であるものの、さて進学となったときに、私立高校に通うには京都まででも1時間はかかるということで、3人のお子さん達を育てていく中で、大学受験のためだけにそこまでさせる必要があるのか、地元の中学・高校で大学受験のための学力をつけることはできないか・・・そんなところから、ご夫妻で塾を開くに至ったそうです。
著書は連名になっていて、共著なのだと思っていたのですが、内容を読むとどうもほぼ全て洋子氏が書かれたのでは?という印象で、お尋ねしましたところ、やはり大氏のお考えも踏まえつつ、洋子氏が書かれたものだとのこと。
個人的には共著であるなら、男性の意見、女性の意見、父の意見、母の意見のように、両方をもっとはっきり打ち出してくださったらよかったのになと感じました。
また、著書のタイトルや帯に書かれていることなどを見ても、親向け、保護者向けという印象なのですが、実際の内容は子ども(学生)に向けて書かれた部分も少なからずあり、せっかくいいことをお書きなのに、このタイトルの本にそれを書かれても、なかなか子どもの目に触れることはないのでは?とも感じました。(この本を読んだ親が子にも読ませるというパターンぐらいしかないのではと。)
著書の構成としては以下のようになっています。
序章 子供の教育は家庭から
第Ⅰ章「行きたい大学へ行く」ための心構え
第Ⅱ章「行きたい大学へ行く」ための中・高6年間の家庭での過ごしかた
第Ⅲ章「どうすれば子供が勉強するようになるか」のコツ
第Ⅳ章 成績がぐんぐん伸びる勉強の仕方
第Ⅴ章 幼年期~小学校時代はどのように過ごしたか
第Ⅵ章 よい塾選びのポイント
ちなみに、Ⅲ章後半からⅣ章にかけては子ども(学生)向けに書かれているように思います。
子育てで大切なことや、受験に関して大切なこととして挙げられている大半のことは私としては非常に共感でき、納得できることでした。
ただ、いくつか気になったのは、洋子氏は子どもの勉強に親が付き合うということを薦めておられるのですが、例えばですが、私が子どもの頃は親に見ていられるのがイヤでしたし、また、仮に私が大学受験の勉強をしていたとき、うちの両親にわからないところを尋ねたところで恐らく教えることはできなかっただろうと思います。
実際、今教室に来てくださっているお母さん方のお話などを伺っていても、親が子を指導することの難しさはもちろん、中学・高校の内容になると親は指導しきれなくなるという方が少なくないと思います。(昔はできていても、やらなければ忘れますから。)
また、仮に必死で頑張って指導したとしても、その指導は無駄の多い方法だったり、間違った方法だったりする可能性もあるわけです。
そういう意味で、大氏は東大卒、洋子氏もノートルダムの英文卒でおられるようですので、そういうご両親だからこそできるという面もあるのではないかと思います。
ただ、じゃあ放っておけばいいということが言いたいわけではなく、親が子を気にかけ、生活面などでできることをしサポートしてあげるということは大賛成です。おいしい食事を作るであるとか、家族が仲良く過ごすであるとか、そういう面はどんなご家庭でもできる限り心がけて頂きたいと思っています。
また、幼少期の過ごし方というところに、低学年で塾に行かせる必要はないとも書かれていたのですが、それも地域によって納得、共感できる方とそうでない方がおられるだろうとも思います。
もし、私が住んでいるような地域で周りのお子さんがみんな何らかの塾に行っているのに、自分の子どもだけはどこにも通わせないというのはかなり覚悟と信念のいることなのではないかと思います。
ただ、ご夫妻がおっしゃりたいことは理解できますし、詰め込みや反復の学習であれば、確かにそれよりすべきことがたくさんあるだろうとも思います。
もともとの設定が私立高校に通うには物理的な負担が大きくなる地域、自然に恵まれたのどかな地域での大学受験という設定で書かれていますので、そういう地域にお住まいの方であれば大いに参考になるのかなと思います。
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