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2006年6月22日 (木)

「競争しなくても世界一―フィンランドの教育」 福田誠治著

これはちょっと「ネット書店」にやられた感じの1冊です。。。

「競争しなくても世界一―フィンランドの教育 

福田誠治著 国民教育文化総合研究所

評価 ★★★☆

以前から書店の教育関連書籍のコーナーなどで「フィンランド」という名前を目にすることがあり、気になっていました。
あるとき書店で見つけた本を1冊購入しようかと思ったのですが、丁度そのとき書店の店頭になくてネットで注文しようと思ったものがあったため、一緒にネット注文にしようと購入しませんでした。

で、ネット検索したところ、手頃な価格でフィンランドの教育のことが書かれているらしき本を発見。とりあえずどんな国でどんな教育がなされているのかが知りたかったので、まずこれでいいかなと注文したのがこちらでした。

もちろん。。。ちゃんと確認しなかった私がいけないのですが、届いたとき、ちょっと騙された気分になりました。(苦笑)
手頃とはいえ文庫本と同等の価格でしたので、それから考えると完全に予想外の本が届いたのです。

この本は正しくは「小冊子」です。A5版(見開きでA4版)で63ページしかないのです。1ページあたり10円弱。かなり高価な1冊です。(苦笑)

まあ、ただ、価格とページ数に驚きはしたものの、内容自体はしっかりしたものだと思います。
実際に著者がフィンランドを訪れ、色々な取材をし、データを集め、それをこの小冊子にまとめて紹介しておられます。

書かれている内容は興味深いものが多いのですが、中でも、フィンランドでは教育が全て無償で、高校までは給食費も無償。必要な文房具類も支給されるということや、教師の質をとても重視していて、その確保のため国として教師の待遇をよくしているということに感心しました。
また、「教師」は社会的信頼も厚く、人気の職業でもあるそうです。そうであれば、子ども達が「理想の教育」を受けられるチャンスも当然増えるだろうと思いました。

また、学校での教育は国が地方自治体にほとんどの権限を委譲し、国としては「最終学年時点の到達目標を大まかに示した『国家カリキュラム大綱』を指定するだけ」にしたとも書かれています。
その分、それぞれの地方自治体、学校、最終的には個々の教師にかなりの自由な裁量が与えられているようです。

また、タイトルに「競争しなくても」とあるように、フィンランドでは小学1、2年は点数化された評価がなく、3年以上は7段階評価で年2回、いわゆる通知簿が出されるそうです。しかし、その評価は日常的に教師が学力を把握した上でつけるもので、序列をつけたり、他人と比較するためのテストはないとも書かれています。
そのスタンスは中学にあがってもほぼ変わらず、他者との比較のためのテストはないそうです。

更にすごいと思ったのは、教師に評価が委ねられているのであれば、手心を加える教師も出てくるのでは?という筆者の疑問に対し「だって、自分の付けた点がフィンランド中に出回ったとき、あの学校の誰の評価がおかしいということになる。あいつはこんなものかと思われたくないじゃないですか」という教師の弁。とも書かれています。素晴らしいプロ意識ですね。

また、ここも素晴らしいと思うのが、(青字部分引用)
日本だと、「まず知識」という教育観が支配している。フィンランドでは、「社会構成主義的な学習概念」という。(中略)
 そこで、学習とは、子どもや若者が「自分の人生に必要な知識を自ら求め、知識を構成していく」活動ととらえるべきだということになる。知識というものは、要するに、自ら学ぶ者が、探求して、自分なりに作り上げていけということだ。そして、教育はこの学習を支援する活動である。(後略)

と書かれていることです。

冊子の中には実際の教室の様子、授業風景、教科書などの写真も紹介されていますが、こんな環境で教育を受けられる子ども達は幸せだろうなぁと思いながら読みました。

もちろん、日本がこれを真似しようとしても難しいでしょうし、まあそうそう国が変わるとも思えませんが、見習うべきところは見習うという意識も大切なのではないかなと思いました。

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