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2006年6月29日 (木)

「あした笑顔になあれ」 水谷修著

夜回り先生の最新の著書のご紹介です。

「あした笑顔になあれ」 水谷修著 日本評論社

評価 ★★★★

夜回り先生の著書は過去3冊購入し、先生のご活動自体も心から素晴らしいと思っていますが、その後はしばらく新しく出た著書は購入していませんでした。(どうしても内容が似通っている気がしていましたので。)

ですが、先日書店でこの本を目にし、表紙のタイトル脇に「夜回り先生の子育て論」と書かれていたため、これまでとは少し違うのかなと読んでみることにしました。

結果、書いている方が同じですし、先生が訴えておられることは常に一貫しておられるということもあり、やはり根っこの部分は同じことで、何かとりわけ目新しいことが書かれていたということはありませんでした。

ですので、評価を星4つにさせて頂きはしましたが、内容自体はもちろん素晴らしく、慈愛に満ちたものです。

余談ですが、この本を読んで一番驚いたのは、先生が学生結婚されていて、お子さんもいらっしゃるということ。最初の著書やテレビでの先生のご活動などを見れば、とてもご家族がおられるとは思ってもみませんでした。それがちょっと意外でしたが、なぜかちょっと安心もしました。ご無理を重ねておられるのは間違いありませんから、ご家族がいてくださってよかったなと。

さて、話を戻しますが、著書の「はじめに」と後半に二度同じことが書かれているのですが、子育てに悩んでおられる親御さんには救われる言葉なのではないかと思ったのがこの言葉です。(以下青字部分引用)

 また、いま苦しんでいるのは、子どもたちだけではないこともわかりました。数限りない親たちから、子どもの非行、薬物乱用、リストカット、引きこもりなど、さまざまな相談が私のもとに届きました。こころ優しい親ほど、子どもの問題を一人で抱え込み、だれにも頼ることができず、自分を責め、暗い夜の部屋で苦しんでいます。多くの親たちが、いや日本のほとんどの親たちが、いま子どもたちを見失っています。親は、子育ての素人です。一人目の子ではじめて子育てに挑戦し、二人目でもたかだか二度目です。しかし、親たちは子どもをもつと、すべて自分できちんとしなくてはならないと抱え込み、子育てに失敗すると、自分を責めています。この本は、そんな悩み苦しむ親たちへの、そして、いま子育て真っ最中の親たちへの、さらに、これから親になる人たちへの、私からの子育て論でもあります。(以下略)

「親は子育ての素人」。そう言ってもらったら、気持ちが楽になる方もたくさんおられるのではないかなと思いました。また、素人だからこそ、何でも自分でやらなくてはと思うのではなく、色々な人に教えを乞い、手を貸してもらいながら、子どもと共に成長すればいいのではないかと思わせてくれます。

この本では先生の若い頃のお話なども紹介されていたりして、海外を放浪していたときのご経験や、若くしてご結婚され、女子高生にそれがわかって泣かれた話など、ちょっとホッとするような話題も登場します。

また、深刻な問題を取り上げていても、常に先生の視点は優しく、愛情に溢れているので、読んでいて心に響きます。

今回も何度か思わず涙してしまったのですが、著書の最後のほうで紹介されているエピソードもとても心あたたまる素敵なお話でした。(以下青字部分引用)

 七年ほど前になりますが、神奈川県藤沢市のある中学校で講演をしました。三年生の三クラスに薬物予防について私が話をしたのですが、二月中旬で卒業式まであと一ヵ月というころです。
 私が話し終わったとき、ある一人の少年が「先生、質問があります」と手を上げました。「どうぞ」と私がいうと、「先生、僕たちに悪や薬物の魔の手が来ないようにするには、どうしたらいいですか」と聞かれたのです。
「いい質問だね。笑顔だよ。笑顔があふれる家庭、笑顔があふれる学校、笑顔があふれる地域に、悪や薬物の魔の手なんて来ないさ」と私がいったら、「先生、どうしたら笑顔になりますか」と少年がいうので、「あいさつと声掛けをやってごらん。あいさつはわかるよね。こんにちは、おはよう、さようならといえばいい。声掛けってわかるかい。たとえば友だちが暗い声を出していたら、ぽんって肩をたたいて『おい、俺がついてるぞ』といえばいい。朝、先生が暗い顔をして歩いてたら、ぽんって肩をたたいて『先生、飲みすぎて二日酔い』って聞いてごらん。お年寄りが重いごみとか荷物をもっていたら、これは声掛けだけじゃだめだ。『おばあちゃん、もってあげるよ。運んであげるよ』といって荷物を運んでごらん」と私は答えて、講演を終えました。
 この三年生たちは、こころがとても優秀でした。自分たちの後輩に明るい学校を残そうと話し合ったそうです。そして、卒業式までの一ヵ月で「あいさつ、声掛けクラス対抗コンクール」をはじめたのです。

その後に続くお話がまたとても心に響くものです。引用するとかなり長くなってしまいますのでここまでにしますが、書店での立ち読みでもいいので是非読んでみてください。

水谷先生は子どもを救うのは実はとても簡単だとおっしゃいます。けれど、確かにそうなのかもしれません。
誰かが笑顔を向けてくれた、誰かが優しく声をかけてくれた、それだけでも、子ども達を救えることは確かにあると思います。

明るい笑い声があふれる場所には、暗く汚れたものは近寄れないはずです。
まずは大人たちが笑いましょう。そして、その笑顔を子ども達に向けていきましょう。それだけでもきっと社会は変わっていくような気がします。

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