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2006年2月28日 (火)

「天才の創りかた」 川島隆太著

半年ほど前に読んだ本なのですが、いまやすっかり有名になられた川島先生の著書のご紹介です。

「天才の創りかた」 川島隆太著 講談社インターナショナル

評価 ★★★★

多分私はもし川島先生とお知り合いになれたら、きっと先生のファンになってしまうのではないかと思っています。
要するに、ご本やテレビなどを通じて受ける先生の印象はとても気さくで親しみやすく、世のためになることを考えておられる方だなというものだからです。

もちろん、ある程度の実績、成果が目に見えたからこそ、ここまで世にブレイクしているのだと思いますが、ただ、幼児・低学年に関してだけは先生のこの人気が、陰山先生の実践と相乗効果をあげているとも言え、不幸な子どもを生み出す一助になっているのかもしれないということだけが不安です。

この本は、専門用語も沢山出てくる割に、結構読みやすく書かれており、文字も比較的大きめなのですんなり読めました。

既にかなり有名なことも多いと思いますが、第一章の2項はこんなタイトルになっています。

創造は「左脳」から生まれる

なんだか意外に思われませんか?ですが、言葉は違うものの、私の尊敬する伊藤恭先生も「右脳とか左脳とか言っても仕方ない。全脳教育をしなくちゃ。」とは前々からはっきりおっしゃっていましたので、川島先生が上述のように書いてくださったのはなんだか嬉しい気がしました。

先生は脳の仕組みは非常に複雑で、右脳だけや左脳だけを鍛えることは不可能で、本当に「右脳」だけを鍛えようと思ったら、右と左の脳を繋いでいる脳梁を外科的手術で切ってしまう必要があると述べておられます。

第二章では先生お得意のアレに話は移っていきます。計算ドリルや音読などをすることで高齢者の痴呆症状が軽くなったという報告などを紹介し、脳は鍛えることができると述べておられます。

第二章のタイトルは「創造力を鍛える」となっているのですが、計算ドリルなどの反復で「創造力」が鍛えられるのかどうかはこの本を読んでもよくわかりませんでした。

もちろん、大人の脳が計算の反復などで働きを回復する可能性を否定する気は全くありませんし、それで痴呆症状が軽減すれば幸せだと思われる方も少なくないでしょうから、先生のご研究は素晴らしいと思うのです。ただ、高齢者や大人によかったから、幼児にもいいのだとは言えないのではと、そのことだけがやはりずっとひっかかります。

また、計算ドリルや音読ばかりがあまりにも有名になってしまっていますが、この本にはこんなことも書かれています。(青字部分引用)

音読や計算といった、堅苦しい方法しか、私たちの前頭前野を鍛える方法はないのでしょうか?この時点で、私が自信を持って言うことができるのは、音読や計算は確かに前頭前野を活性化し、音読や計算を継続することで前頭前野の能力を高めることができ、更に音読や計算を行った直後に前頭前野の潜在能力を引き出すことができる、ここまでです。

そして、その続きには、前頭前野を鍛える他の方法としてこんなことも書かれています。
編み物や洋裁をする、包丁で野菜や果物の皮を剥く、料理を作る、折り紙を折る、はさみで紙を切り抜く、楽器を演奏するなどでも前頭前野は鍛えることができるというのです。

先生がまとめられている、前頭前野を鍛えるこつは以下の通り。

一.手の指を使って何かをつくり出すこと(両手なら、なお良し)
二.家族や友人と会話すること(相手の目を見る、相手の気持ちを慮ると、なお良し。これは次章で詳述します)
三.芸術活動をすること

こんなにわかっておられるのに、どうして計算ドリルと音読ばかりが有名になり、世に広まっているのでしょう?どう考えても、上の3つのこつは納得が行くものですし、全く副作用などの心配もありません。子どもにだってどんどんやらせてもらって構わないのです。それがなぜ。。。

第三章では、コミュニケーションの重要性、脳が一番働く環境、脳にとって不可欠な休息についてなどがまとめられ、テレビゲームのことについても触れておられます。

そして終章は、ここを読むと先生のお人柄が一層よく伝わってくる気がするのですが、そう思うだけに、現在の「計算ドリル・音読信仰」が恨めしく思えます。

先生が書いておられることは反論するところはないのですが、上述のように、他にも色々脳を鍛える方法がありながら、ある部分だけが取り上げられ、一人歩きし出しているのは100マスと同じなのかもしれないなと思っています。

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