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2006年2月23日 (木)

「早期教育と脳」 小西行郎著

昨日の続きです。

第2章は乳幼児と英語教育と題し、昨今の乳幼児などの英語学習について述べておられます。

他の先生も同じようなことをおっしゃっているのを目にしたことがありますが、小西先生のおっしゃっていることの中で特に大切だと思ったことは以下の点です。(以下青字引用)

①早期教育については、低年齢児から始める必要はない。もし教育を始めるとすれば、第一言語を習得したあと。

④大切なのは「英語をしゃべる」ことではなく「しゃべる内容」である。

これらのことについては、それぞれ著書の中で詳しく述べられています。
そして、また締めくくりの言葉も素敵です。

 将来役立つという考えも理解できなくはありません。しかし、そのためだけに、0歳児からビデオを見せ、とりあえず八歳までをリミットに英語を学ばせる・・・・・・。八歳を過ぎたらどうしますか。大人になってからでは遅いと思っている親を、子どもは尊敬できるでしょうか。
 そして何語を使おうとも、話をするのに重要なのは中身と人柄です。
人を惹きつける会話ができるかどうか、自国の文化に造詣が深いか、物事に対する好奇心や意欲があるかどうかです。それさえあれば、子どもは自ら自分の人生を選択する力を持っていると私は信じています。何のために遊ぶ時間を削って早期教育をするのかを考えてほしいのです。

第3章は「育児不安と孤独な親」と題し、最近のお母さん達の不安や悩み、それへの対応の仕方などをまとめておられます。

この章は、育児に悩むお母さん方はもちろんですが、お母さんの不安や悩みを理解してもらうという意味で、お父さんにも是非読んで頂けたらと思いました。

章の最後には児童虐待の話題を取り上げておられますが、ここにも最近私が感じていて言葉にならなかったことが書かれていました。

 日本がまだ貧しかったころ、各家庭の扉は開けっ放しで、近所の子どもが自由に出入りしていました。安心できる環境の中で、子どもたちは自分たちの遊びの世界を形成し、親も親同士で交流がある。そのような風景が当たり前のように見られました。「鍵をかけないこと」が、逆に地域の安全を守る役割を果たしていたのかもしれません。
 しかし、社会が豊かになり、核家族化が進みと、私たちは自分の家に鍵をかけるようになりました。防犯機能は強化されましたが、家族以外の人を家に入れることも減り、地域の交流が失われていきました。

昨今の子どもが被害に遭うという悲しい事件も、地域の交流があれば防げたものも少なくないと思うのです。(またこのことは頭の中でまとまったら書かせて頂こうと思っています。)

第4章では「地域社会と子ども集団」と題し、ベトナムの都市部や農村部と日本の育児の比較などを紹介しつつ、「子ども社会」の重要性を述べておられます。

こちらにも、最近何人もの先生方が同じようなことを言われていて、大いに共感できることが書かれていました。

 子どもにとっての望ましい保育のあり方とは、実は子どもたち自身の中にあります。(中略)子どもたちにとって大切なのは、「子ども社会(集団)」の中で子ども自らが人間関係を学ぶことです。(中略)この「子ども社会」が消えてしまった原因の一つは、子どもたちが忙しすぎることに加え、地域に子どもたちが魅力を感じる場所がなくなったことも影響しているのではないでしょうか。(中略)大人が作った公園では遊ばずに、大人が行かない場所に「秘密基地」を作ったり、「隠れ家」を見つけて探検したりしました。(中略)物を汚したり、半分壊したりして、想像力豊かに遊びに没頭していたのではないでしょうか。子どもたちは、大人では想像もできないような遊びを次々と作り出していくのです。

終章にあたる第5章では「障害児教育から子育てを考える」と題し、先生がこれまでのご経験を通じての視点で素晴らしい内容が綴られています。

障害児と子育てって直接関係ないのでは?と思われるかとも思いますし、きっと先生ならではの視点であるとも思います。ただ、この章に関しては、子育てに役立つかどうかという視点と別に、人として社会で暮らしていく上で大切なことに気づかせてもらえる内容のように思いました。

障害児教育に関しては全くの素人ですし、直接障害児と触れ合うことも殆どありませんでしたので、全く知らなかったのですが、一番ステキだなと思ったのは「ノーマライゼーション」という考え方でした。

また、かなり驚いたのは、お医者様の中には治る見込みの少ない(もしくはない)障害を持って生まれた子の親に向かって、「次はいい子を産んでね」という励まし(?)の言葉をかける方がいるらしいということでした。

障害の捉え方には「医学モデル」と「障害モデル」があるそうで、前者は
障害は、機能や能力が低下しているものであるから、それを向上させるために医療を用いる」という考え、後者は「機能の低下を問題にするのではなく、それによって社会適応が阻害される要因を取り除くこと」が基本姿勢になっている
とのことです。

これまでの障害者に対する考え方は「私たちは健全だが、あなたたちにはハンデがあります」というもので、相互コミュニケーションを機能させるために障害者の方に改善を求めてきたというのです。

それに対し、ノーマライゼーションの考えは「障害は、障害者自身ではなく、障害者と健常者の間の環境に問題がある」という立場に立ち、環境を改善するよう健常者の方が行動を起こすものだそうです。

紹介しているとどんどん長くなってしまいますが、とにかくこの本には色々なことに気づかせてもらいました。
終始、著者の子どもや障害を持つ方たちへの優しいまなざしを感じ、とてもあたたかいものが伝わってきます。

お子さんがいる方もいない方も、是非一度読んでみて頂きたい。
そう思える1冊です。

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