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2006年2月22日 (水)

「早期教育と脳」 小西行郎著

最近なかなかゆっくり本を読む時間が取れなくて、新書だというのに、この1冊を読み終えるのにはかなり日数を要しました。

「早期教育と脳」 小西行郎著 光文社新書

評価 ★★★★★ (うまく言えないのですが私はかなり好きです。)

著者である小西氏は東京女子医科大の教授をされており、乳幼児や障害児などに多く接してこられた方のようです。

もし私がこの本を書店の店頭で見ていたら、もしかすると購入していなかったかもしれない。。。そう思いました。
というのも、私は細かい字でびっしり書かれているような本がダメで(基本的に無精者ですので。。。)この本を開いたときの印象はやや読むのを躊躇うものだったからです。

たまたまネットでタイトルが気になりそのまま注文したため、私は無事この本と出会うことができた訳ですが、私的にはとてもオススメです。しかし、誰にオススメなのかがうまく言えません。。。

色々な大人に読んで頂きたいと思うほど、内容が多岐に渡っていて(まあ、もちろん乳幼児・障害児教育に関することが中心ではありますが)、健常児・障害児どちらの親御さんにも、子ども達を指導する方にも、それぞれ役に立つ、何かに気づかされる、そんな内容が章ごとにまとめられている上、終章の障害児・障害者に対する考え方などは本当に日本のひとりでも多くの方に知って頂きたい(もちろんご存知の方、知らなくても自然とそうできている方もおられると思いますが)内容でした。

ほんの1冊の新書、ページ数も200ページ足らずと決して多くないのですが、そこら中に気になること、共感すること、感動することがありました。

第1章は「早期教育と脳」と題し、最近やたら話題に上るようになった「脳科学」を根拠としたさまざまな主張に対し、鵜呑みにすることの危険性を医師の立場から書いておられます。

マウスやサルなどの実験結果を人間の赤ちゃんや幼児などにそのまま適用することは困難であるということのようですが、何よりも私が共感を覚えたのは以下のような内容です。(以下青字部分は引用。)

昨今の脳科学研究で大変有名になられたあの教授たちのプロジェクトのことを言っておられるのかと思いますが、私がこの本を好きな理由の大きなひとつがこの文に表れています。

 さて、今後日本は、これまで直面したことのない高齢化社会を迎え、私たちにとって痴呆は深刻な問題となります。しかし、イメージング研究で学習効果が見られたからといって、脳機能の老化を防ぐという目的のために、お年寄りに読み書き計算をさせることが、本当にお年寄りの幸せにつながるのでしょうか。
 お年寄りの役割は、長い人生で得た知恵を次の世代に引き継ぐことだと私は思います。何より、人生の先輩であるお年寄りに対し、尊敬や敬愛の念を持って接することが重要ではないでしょうか。
 お年寄りに読み書き計算をさせるのも、生まれて間もない乳幼児に過度な刺激を与えるのも、脳への「学習効果」に期待を寄せたものだと思いますが、それには学ぶことの意味や生きることへの尊敬の念が抜け落ちている気がするのです。

こう書いておられます。これ以前に、お年寄りの痴呆の症状が改善された例の研究結果について、このようなことを書かれています。

(前略)見ることは「客観性」につながるだけでなく、「誰かから注目されること」による効用をもたらす場合があります。(中略)お年寄りの読み書き計算のプロジェクトでは、被験者のお年寄りが普段とは違う周囲の対応や新鮮な学習に感化され、表情の改善や歩行の機能向上につながった可能性も否定できません。つまり学習のみによって、脳機能が上昇したとは言い切れないのです。

うまく言えなくて恐縮ですが、もし自分が将来痴呆の症状が出てきて、それを自覚できる状況にあれば、計算ドリルや音読などを自らやってみようと思うかもしれません。そして、脳科学の研究の結果を全て否定する気もありません。それは小西氏も同じだと思います。

ただ、万人がそうであるとか、これは絶対に正しいであるとか、そういう感覚が浸透してしてしまうことに恐さを感じていると言えばいいでしょうか。

更に、私としては少し嬉しいようなことが書かれていました。
乳幼児に対してのビデオ教材は有効かということについて述べておられる中に、このようなことが書かれています。

 二〇〇三年末に開かれた「赤ちゃん学会」で理化学研究所のヘンシュ貴雄さんが紹介したもので、あるアメリカの学者が行った、子どものビデオ視聴と言語に関する実験です。
 実験室に集められた子どもは、ビデオを見て中国語を学ぶグループと、対話によって中国語を学ぶグループの二つに分けられました。どちらも一日三〇分間、週三日の学習を一カ月間続けました。
 一カ月後、対話で中国語を学んだグループの子どもたちは、中国語の発音を区別することができましたが、ビデオだけで中国語を体験したグループの子どもたちは、ほとんど中国語を認識することができませんでした。
 ヘンシュさんは、「対話による人との接触によって、子どもの意欲が喚起されたために(対話で学んだ子どもの方が、)発音が定着したのではないか」と考えています。

もちろん、それはひとつの例に過ぎませんから、もしかすると別のところでは違った結果が出ているかもしれません。それでも、特に乳幼児期には生身の人間、それも自分を思ってくれる人間から与えられるものの方が絶対に効果が大きいのではと思っている私にっとっては嬉しい文でした。

第1章は私としては大いに共感し、みんなにも是非読んでみて頂きたい、そう思う内容が沢山でした。

と、なんだかとても長くなりそうですので、一旦ここでUPさせて頂きます。続きはまた後ほど。(もしくは明日。。。)

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