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2006年1月29日 (日)

「夜回り先生と夜眠れない子どもたち」水谷修著

水谷先生の2冊目の著書です。今でこそ書店の店頭には先生の本が沢山並んでいますが、これが出版された2004年の秋にはまだようやく先生の名前が世に知られ出した頃でしたね。

「夜回り先生と夜眠れない子どもたち」

水谷修著 サンクチュアリ出版

評価 ★★★★

前回ご紹介した本の続編になると思います。
先生が出会った子ども達とのことを、前作に引き続き書いておられます。もし私が水谷先生のことを何も知らされずにこの本を渡されたら、もしかするとフィクション、短編小説ととらえるかもしれない。そう思いさえするほど、自分には想像のつかない様々な出来事が書かれています。

けれど、やはり、涙が止まらないほど、水谷先生の愛が溢れています。

この本の1章は「夜回り先生」というタイトルで書かれていますが、その中に先生のこんな言葉があります。(以下青字部分引用)

 私は22年間の教員生活の中で、一度も子どもを殴ったり、叱ったり、怒鳴ったことがない。
 なぜなら子どもたちはみんな、「花の種」だと考えているからだ。教員だけではなく、親や地域の大人や、マスコミを含む社会全体が、子どもを慈しみ、愛し、丁寧に育てれば、子どもは必ず美しい花を咲かせてくれるだろう。
 もし花を咲かせることなく、しぼんだり枯れたり腐ったりする子どもがいれば、それはまぎれもなく大人の責任だ。

 今から14年前、ある夜間高校の教員が「寿司だって魚を選ぶ。夜間高校にいるような腐った生徒にいい教育なんてできない」と言った。そのひと言に強く反発した私は、すぐさま普通高校から夜間高校へ移った。
 魚は勝手に腐るが、子どもは絶対に腐らない。腐った子どもなんて一人もいない。そのことを少しでも伝えたくて、私は被害者である子どもたちとの出会いを求め、夜の世界で生きるようになった。

これはすごい。本当にすごい。ここまで思える大人はこの世にどれだけいるのだろう。
子どもを殴ったことは私もない。恐らくこの先もないだろうと思う。けれど、水谷先生は叱ったことすらないというのだ。本当なのだろうか。。。

2章にはこうも書かれています。

私は決して優れた教育者ではない。ごく普通の弱い人間である。
でも子どもたちの呻きや叫びを、受け止めることならできる。
人を人としてありのままに受け入れ、手を差し伸べることならできる。
ずっとそばに寄り添って、「人を信じてみよう」というきっかけを作ることならできる。
一人の大人がそばにいて、「君のことが心配だ」ということを伝えられれば、それだけでいい。
そういう気持ちで、「夜眠れない子どもたち」と向き合いはじめている。

並行して学校の授業や、夜回りも続けているため、残念ながら熟睡した日は記憶にない。髪は真っ白になり、歯はガタガタになった。
なぜそこまでできるのかと聞かれることも多い。

答えは簡単。何も考えていないからだ。自分のことで悩む余裕なんて一切ない。(中略)

それに子どもたちは、いつも私に生きることの喜びを教えてくれる。
心と体にたまった疲れは、子どものすばらしい笑顔がとかしてくれる。

子どものそばにいたいから、子どもが好きだから。

私が教員として生きている理由は、それ以外にない。

このとき先生はまだ夜間高校で頑張っておられました。けれど、こんなに素晴らしい先生が、有名になってしまったことで「教員」を辞められました。そうさせたのは、マスコミを含めた大人たちなのです。別の著書で先生は書いておられました。自宅の電話もメールも公開しているのに、公立である先生の勤務校に様々な問合せや依頼の電話が入るようになり、同僚の先生達の迷惑になってしまったのだと。

もちろん今でも夜回りも講演も続けておられるようです。けれど、今はもう「教員」ではありません。先生からそれを奪ったのも、やはり私たち大人なのですね。

私は残念ながら絶対、水谷先生のようにはなれません。
恐らく、世の中の大人の大多数はそうでしょう。けれど、水谷先生の著書や講演で先生の言葉に触れることで、何か変わるかもしれません。ほんの少しでも、子どもたちにとって優しくなれるかもしれません。

まだ先生のご本を読まれたことのない方は是非一度読んでみられてはいかがでしょう。

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