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2006年1月 6日 (金)

「子育てと教育の大原則」糸山泰造著

ようやく、糸山先生の最新の著書のご紹介です。
ブログを立ち上げて間もない頃に買ったのですが、なかなかこの本を読むところまで辿り着かず、また、辿り着いたら今度は内容がとても濃いので、なかなか読み終わらずで、ご紹介がすっかり遅くなりました。

「子育てと教育の大原則」 糸山泰造著 エクスナレッジ

評価 ★★★★☆

糸山先生は、どんぐり倶楽部のサイトを拝読しても感じますが、長い文章を書かれることが苦にならない方なのではないかと思っています。(先生、違っていたらすみません。。。)

ですので、この本も内容が濃い上に文章がびっちりしっかり入っていて(本によっては行間が広くてあっという間に読み終わるものもありますよね。)、個人的には2冊に分けて書かれてもよかったのでは?と思うようなものでした。

かなり盛り沢山の内容で、「絶対学力」や「続・絶対学力」と比較すると、より育児を含めた「子どもの教育」に重点を置いて書かれているように感じました。(タイトル的にもそうですね。)

内容はご紹介したいことが盛り沢山なのですが、きりがないので、中でもこの本で印象に特に残ったところをご紹介します。(以下青字部分引用)

まず、第1章では「熱しやすく冷めやすい」というのは子供時代の基本的で大事な特性です。と書かれており、子どもに対して、一度やり始めたら最後までしなさいというのは「多様な思考モデル」の獲得を邪魔する浅はかな考えだと述べておられます。

また、同章で「12才までのテレビは制限しましょう」という項で書かれていることの中から、そんなこと意識もしていなかったなというのが、子どもにニュースを見せるということは最も注意しなければならないと書かれていたことです。

その理由として、「内容を知らされていないことが多いので見せてはいけないものを制御できない」「記憶に残りやすい視覚情報が中心なので影響を受けやすい」「非日常的なこと・異常な様子が多い」などを挙げておられ、以下のように述べておられます。

残虐なシーンを見せながら「こんなことをしてはいけません」と言っても、残っているのは「残虐なシーン」そのものであり「視覚情報を肯定する」という人間の本能は「してもいいんだ」という感覚を育ててしまうのです。

糸山先生によると、人は視覚から受けた情報は正しいものと認識しがちだそうです。だとすれば、暴力シーンや殺人のシーンなど、テレビであれゲームであれ、子どもに見せるのは本当に危険極まりないことだと思います。恐らく事実なのだと思いますので、これまで意識していなかったということにぞっとします。

また、第3章では「反応が速いことと物覚えがいいことには注意しましょう」という項でこんなことも書かれています。

幼児・児童期の「反応が速い」は「頭がいい」ではありませんし、「物覚えがいい」は「記憶力が優れている」でもありません。
どちらも、思考モデル(視覚イメージの再現・操作)作成のための一時的な現象です。
ところが、多くの人がこのことに気づかずに「今がチャンス」とばかりに「この時期に、できるだけ速くさせよう」「この時期に、できるだけ多量に覚えさせよう」として一生に一度しかない貴重な時間を潰してしまっています。考える力の素を作るべき時期に考えない力を強化しています。これでは、天才(子供はみんな普通に天才)といえども永久に才能は発揮できません。

幼児は丸暗記が得意だということは、教室を初めてから色々な本を読み、知りました。しかし、それはある時期特有のものだということも書かれていました。ただ、糸山先生によると、その時期のその能力は人が人間として生きるために必要な力の獲得に使われるべきものであって、目的を間違って使うと、体だけ大人になって頭の中は子供のままという「子供大人」になってしまう危険があると言っておられます。

また、この著書の中に書かれていたことは、私がこれまで漠然と感じていた中学受験に対する違和感や、小さい間にしっかり遊んでいる子の方がある程度の時期がくれば伸びるように感じていたことをより確信に近づけてくれました。

私はそこを目指していないので「中学受験」についての内容はご紹介していませんが、本書にはそれに関しても望ましい取り組み方などが詳しく書かれていますし、家庭学習で気をつけるべきことなども具体的に沢山書かれています。

12歳までのお子さんをお持ちの方、その年齢のお子さんに関わっておられる方には一度お読み頂きたい1冊です。(読まれるのであれば、お子さんが小さいほどいいと思います。)

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コメント

あけましておめでとうございます。
今日、ブログにお邪魔してました。お忙しいのかな~、早く読みたいなぁと
思っていましたら、久しぶりに更新されていて、今回も素晴らしいなと思って
いたところです。

小さいお子さんがおられる方には糸山先生の3冊ではまずこれを読まれたら
いいのではと思ったりしています。(先生ご自身がどう思っておられるかは
わかりませんが。。。)

こちらこそ、今年も宜しくお願い致します。

投稿: willseeds | 2006年1月 9日 (月) 00時50分

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
これは非常に大切なことが沢山書いてありそうな本ですね。
私もテレビの影響については気にしていましたが、
ニュースは見せてしまっていたので、「しまった」と思いました。
子供は今2歳で、今が大切な時だと思いますので、是非読みたいと思いました。
紹介してくださってありがとうございました。

投稿: えくぼ | 2006年1月 8日 (日) 21時35分

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