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2006年1月19日 (木)

「自然に勉強する気になる子の育て方」

読み終わったばかりの1冊をご紹介します。

「自然に勉強する気になる子の育て方―「心」「体」「頭」を鍛える大越メソッド

大越俊夫著 幻冬社

評価 ★★★★☆

正直なところ、タイトルからイメージしていたものとはかなり違っていました。
内容としては、「勉強する」ということより、どんな子育てが大事か、子どもにとって親はどうあるべきかということがメインに書かれていると言っていいかと思います。
大切なこと、素晴らしいことが沢山書かれていますが、ここで書かれている「子ども」の年齢は(はっきり書かれてはいないのですが)小学校高学年以上、メインは中学生以降のお子さんではないかと思います。

著者である大越先生は、1975年に、これまた偶然、神戸市で不登校・中退生のための「リバースアカデミー師友塾」を設立された方だそうです。
以前ご紹介した井上先生も偶然県内(比較的お近く)で活動されている先生でしたし、何か勘が働くのでしょうか。(笑)

著者紹介では、不登校児を約6,000人も元気にしたと書かれており、本書の内容も、日々の活動を通じての子供達や親御さんたちとのやりとり、指導がメインとなっています。
ただ、不登校にならなくても、子育てについて大事なことが沢山書かれており、1テーマごとが短くまとめられていますので、読むのも読みやすいです。

私が好きな本に共通していることですが、この本も著者の子どもたちへの愛情がひしひしと伝わってきます。
お子さんが不登校、または不登校気味であるとか、反抗的になって何を考えているのかわからないであるとかいう保護者の方には解決の糸口を見つけられる本かもしれません。

興味深い内容だらけなのですが、中でもこれまで読んだ本では出会わなかった視点をいくつかご紹介します。

「『心』を強くするために、何よりも先に『骨』を強くする」という項があります。
題の通り、子どもの元気といえば「心」に焦点があてられがちですが、「体」のとりわけ「骨」を育てることが大切だと書かれています。中学生の不登校の場合についてということで書かれていますが、心の元気を取り戻すためには、まず食生活にも気を配り、「体」を元気にすることが大切だということのようです。

また、「何の罪もない人を、牢獄に入れるとどうなるか?」という項では、ロロ・メイ氏の「自我喪失の六段階」を以下のように紹介しています。(以下青字部分引用)

 あるところにわがままな王様がいました。その王様はある日ふと、人を牢屋に閉じ込めると、どういうふうになるのだろうと思いつき、何の罪もない男を牢屋に入れました。
 突然わけもなく牢屋に入れられたその男は、まず、途方にくれてしまいました。これが自我喪失の第一段階です。
 その後、彼はすぐに自分を取り戻して、「出してくれ」と抵抗し始めました。これが第二段階です。
 しかし、いくら抵抗してもドアが開かないので、彼は次第に自分をこんな目にあわせている人間を憎悪するようになりました。これが第三段階です。
 それでも解放されないので、とうとう、彼は諦めてしまいました。これが第四段階です。
 そしてうつろになってしまいました。これが第五段階です。空虚、つまり先ほどから説明している自我消失の入り口に立っている状態です。
とうとう最後には、何も主張しなくなってしまいました。これが最後の第六段階です。ここに至ってその男は、本当のアパシー(無関心)に陥ってしまったのです。
 そこで、この王様の役に教育ママゴン、牢屋に入れられた男の役に子どもを入れてみると、この物語の中で男が次第に自我を失っていく過程は、そのまま子どもにもあてはまるということがわかります。

説明は要りませんよね。

ちょっと衝撃を受けたのは「子どもがパンを盗んできたら、いっしょに食べてあげられますか?」という項。タイトルからしてどういう意味なのだろう?と思いました。
曽根綾子さんの著書からの引用のようですが、子どもがパンを盗んできたら、良い母はまず子どもといっしょに盗んできたパンを食べてやるのだそうです。悪い母は自首させるために警察に電話。普通の母はお店に子どもを連れて行って、この子がパンを盗みましたと言って代金を払うと。

いきなり子どもに自首しろというのが悪い母というのはわかるのですが、悪いことをした子と一緒にお店にお詫びに行くのが普通の母で、良い母は一緒に食べるということに驚きました。その理由は子どもの犯した罪をまず一緒に食べて(共有してということでしょうか)やり、子どもにとって絶対の味方になってやる必要があるからとのことです。そうした上で、犯した罪についてお母さんが悲しんでいることを伝えなさいと。

他にも素晴らしいこと、これまで考えてみなかったことなどが沢山書かれています。
また、他の素晴らしい先生方が言っておられることと共通することも数多く書かれています。

これを読むと「不登校」も単なるひとつの選択肢で、こんな素晴らしい先生のもとで元気に学んでいるのであれば、なんとなく学校に通っている子達より有意義な人生を過ごしているのではないかと思わされます。実際、不登校や中退の子達を指導する先生には素晴らしい先生が沢山おられるでしょうから。

直接不登校ということに関わりのない方も、お子さんに関わっている方皆さんに何か参考になるのではと思う1冊です。

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