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2005年12月21日 (水)

「夜回り先生」 水谷修著

恐らくご存知ない方は殆どおられないであろう「夜回り先生」の1冊目の本のご紹介。

「夜回り先生」 水谷修著 サンクチュアリ出版

評価 ★★★★☆

著者の水谷先生についてはご説明の必要もないと思いますが、もともとは定時制高校の先生をされる傍ら、十数年間に渡って夜の街を回り、数え切れないほどの子ども達を救い出してきた方です。

先生の活動がメディアで取り上げられ、本が出版されていく中で、先生は公立高校の教員を続けていくことが難しくなり、現在は退職されて執筆や講演活動をしながら、夜の街の子ども達を救い続けておられるようです。

私は大好きな本です。いえ、好きという表現は少し違うかもしれません。共感できるというのとも違います。ただ、心にストレートに響きます。読みながら途中で涙がこみ上げてきて、最後まで泣きっぱなしでした。ただ、かなりインパクトのある内容でもあり、小学生のお子さんやまだ世間ずれしていない中学生のお子さん達には、安易に読ませてはいけないのかもしれないとも思うため、評価がこうなりました。

本の構成はモノクロ写真を交え、まるで短編小説を1冊にまとめたかのようなおしゃれな雰囲気です。内容も、ある意味で私にとってはフィクションの世界のことのように思える、これまで私が過ごしてきた世界とはちょっと違った世界の話です。

先生のなさっていることは本当に心から尊敬していますので、自分にできることがあれば何か。。。と思ったりもしましたが、先生が著書の中でもお書きになっていたように、現在のところ私は「昼の住人」であって、夜の街の子たちの気持ちに完全に共感することはできないように思います。

夜遅く、群れている子ども達を見ると、やはり正直言って恐怖を感じます。そんな私は仮に夜の街に足を踏み入れても、本当の意味で子どもを救うことはできないだろうと思うのです。

先生が書かれていたように、私は昼の世界の子ども達が夜の世界に足を踏み入れることがないよう、一人でも多くの子たちが幸せに過ごせるよう、それを心がけて今いる世界で頑張っていくのが本当にやるべきことなのだろうと思っています。

自分が経験したことでなければ、共感しようと思ってもできない。
極貧の生活や、親からの虐待、そんなものは実際に経験した人間でなければ本当の辛さなんてわからない。
だから多分、中途半端な気持ちで夜の街の子達と向き合うのは私のすべきことではないのだろうと思います。

ただ、恐らく世の中の、少なくともこのサイトを覗いて下さっている方の殆どは私と同じ「昼の世界」の方だと思います。
だからこそ、もし水谷先生の著書をお読みになられたことのない方には是非一度お読み頂きたいと思うのです。

知らないことは心から共感することはできないかもしれないけれど、これから夜の街でたむろしている子達に向ける目がほんの少し優しくなるかもしれない。
たったそれだけのことで、もしかしたら何か防げる事件や事故があるかもしれない。そう思うのです。

水谷先生ほどの強さを持った方はそうそうおられないと思います。本当の意味で「命を懸けて」おられる方だと思っています。

ご病気の治療に専念なさることなく、ただひたすらに身を削ってまで子ども達を助けようとする先生に私達ができることがあるとすれば、もっと子ども達に本当の愛を注いで、夜の街に足を踏み入れる淋しい子を作らないことの他ないのではないでしょうか。

内容が少しハードなので、お子さんに読ませるのはちょっと躊躇うところもあると思いますが、何かを悩んでいる中学生や高校生のお子さんには、機会があれば是非読んでもらいたいとも思います。

私の中では、水谷先生が言っておられることも江原啓之さんが言っておられることも、結局同じなのではないかと思っています。
「愛」でしか人は救えない。変えられない。

そんなことを改めて感じさせてくれる1冊です。

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コメント

だまたさん初めまして。
コメントありがとうございます。

最近は本当にまともに本がご紹介できておらず、自分でも不甲斐なさを
感じております。

ぼちぼちですが続けていきますので、これからもどうぞ宜しくお願い致し
ます。ありがとうございました。

投稿: TOH | 2006年3月22日 (水) 11時33分

初めてコメントさせていただきます。
水谷先生のことは知ってはいましたが、この本を読んでかなり衝撃をうけました。
willseedsさんのおっしゃるとおり、私にとってもフィクションの世界であり、とても共感できない事実がある、その事にただ涙を流すしかないのですね。
先日、我地方紙に「6年生女児カッターで切りつけられたと狂言、前日夜自分で切りつけ、注目して欲しかった」との記事。なんともやりきれない思いがしました。

いつも、御本の紹介ありがとうございます。又楽しみにしております。
全てを読破したいのは山々ですがなかなか思うようにいきません。

投稿: だまた | 2006年3月22日 (水) 11時13分

私は見逃しましたが(本放送のときも最後の方しか見られませんでした。。。)
今日晩に会っていた幼馴染に聞きました。
見ると確実に泣いてしまうので、ひとりで見るに限ります。(苦笑)

とうとう大晦日ですね。よいお年をお迎えくださいませ。
来年もどうぞ宜しく。

投稿: willseeds | 2005年12月31日 (土) 00時37分

こんにちは!
今日の昼、NHKの教育TVでちょうど水谷先生の特集を放映していました(再放送で)。ちょうど私をのぞいた家族がみんな見ていて、後から話を聞くと、家内と娘は泣きながら見ていたらしいです。息子も目頭が熱くなったといっていました。私は塾があったので、少ししか見ていませんが、「覚悟」ができた方のようにお見受けしました。本当にすごい方がいらっしゃるのですね。録画していますので、これから休みの間に見ようと思っているところです。

投稿: こだま | 2005年12月30日 (金) 23時05分

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